ニュース news 2016.NEWS Release
インドで鉄鋼用加熱炉にリージェネレーティブバーナ技術の
導入に向けた実証事業を開始 -NEDO実証事業の委託先として-
2016年5月9日
当社はこの度インド国内において、鉄鋼用加熱炉にリージェネレーティブバーナ技術を導入するための実証事業を開始します。本事業は国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)の「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業」において「インド高性能工業炉実証事業 実証前調査」が、当社を委託先として2014年に採択されたものであり、1年半にわたる調査の結果、NEDOでの最終審査を通過し実証事業を行う運びとなったものです。
本実証事業を開始するにあたり、NEDOとインド財務省経済局(MOF/DEA)、鉄鋼省(MOS)およびインド国営鉄鋼メーカのSteel Authority of India Ltd.(以下SAIL社)の4者にて、4月28日に基本協定書(MOU)を締結しました。これを受けて当社はSAIL社のラウルケラ製鉄所(オリッサ州)で操業している既設厚板加熱炉にリージェネレーティブバーナを設置し、省エネルギー効果の検証を行います。
インドでは急速な経済発展によりエネルギー需要が急増しており、エネルギー・環境問題への対応策として先進国で実用化されている省エネルギー技術導入への関心が高まってきています。日本とは、閣僚級の「日印エネルギー対話」(2007年より)や経済産業省主導の「日印鉄鋼官民協力会合」(2011年より)が開催され、省エネルギー方策の議論が続いております。一方でリージェネレーティブバーナは1990年代に当時の通商産業省及びNEDOの支援を受け、日本の工業炉・バーナメーカと加熱炉ユーザが共同開発した技術であり、日本では既にさまざまな工業炉に適用され、当社も国内外で2100組以上を納入しております。今後この日本発の省エネ技術を、粗鋼生産量の拡大が予想されるインドで普及していく予定です。
当社は今後3年間で実証サイトであるラウルケラ製鉄所と共同で既設加熱炉改造にかかる設計・製作及び現地工事を完了し、省エネルギー効果の測定を実施致します。なお、今回の実証による効果として、本サイトで年間100万トンの厚板生産時に重油換算で年間210万リットルのエネルギー使用量削減及び、年間6千トンのCO2排出削減を見込んでいます。また効果測定を行いながらラウルケラ製鉄所をショールームとしてインド製鉄業への拡販活動を図る予定です。今後本事業を通じ日本・インド両国の良好な関係構築に貢献すると共に、中長期的にインド鉄鋼業界における省エネ市場において確固たる地位を築くべく事業開拓につなげる所存です。
■リージェネレーティブバーナの作動原理
蓄熱体を内蔵した2台1組のバーナを設置し、一方のバーナが燃焼している間、他方のバーナは排ガスを吸引し、蓄熱体を介して排ガスを放出します。このとき蓄熱体は排ガス顕熱により蓄熱されます。その後燃焼と排気が切り替わり、燃焼用空気は蓄熱体を介して炉内に供給され、このとき燃焼用空気は高温の蓄熱体によって予熱されます。
これにより従来の加熱炉での燃費と比較し30%程度、またレキュペレータ(金属製熱交換器)による排熱回収システムと比較しても10%程度の省エネルギーが可能になるとともに、地球温暖化の原因となり人体に有害なガスであるNOxの発生量については、50%程度削減することが出来ます。
【サイト概要】
SAIL ラウルケラ(Rourkela)製鉄所(オリッサ州)
粗鋼生産量 : 230万トン(2013年度)
熱延 : 1工場
厚板 : 2工場(うち、新厚板工場の加熱炉にて実証事業を行う)
【事業概要】
ラウルケラ製鉄所の新厚板工場で稼働中の他社製スラブ加熱炉はレキュペレータ(金属製熱交換器による空気予熱装置)にて熱回収を行っています。なお一層の省エネを図るため、燃焼負荷が高く燃料使用量の高い予熱帯、第1加熱帯及び第2加熱帯の各上部バーナをリージェネレーティブバーナに改造(上部帯3ゾーン24台のバーナを撤去し、リージェネレーティブバーナ12ペアを設置)致します。改造による燃料原単位の向上及びCO2排出量の削減の実証を目的とします。
▲改造箇所周辺
以 上
【問合せ先】
中外炉工業株式会社 業務本部 三好
TEL:072-247-2509 〒592-8331 大阪府堺市西区築港新町2-4
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